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鵜飼裕之学長就任インタビュー
愛知東邦大学学長 鵜飼裕之
2021年4月より学長に就任された鵜飼裕之教授にお話いただきました。このインタビューは全編を動画撮影しています。そちらもぜひご覧ください。
Q鵜飼先生の経歴をご紹介ください
愛知東邦大学には昨年の4月に着任いたしました。それまでは、名古屋工業大学(名工大)で学長をしておりました。生まれは名古屋。1954年、昭和29年に生まれました。
その後、地元の幼稚園、小学校、高校を卒業して大学は名古屋工業大学に入学しました。1973年のことです。以来、ずっと名工大に在籍しました。昨年愛知東邦大学で副学長を1年務めたのち、今年の4月に学長になったところです。
Q研究分野はどういった内容だったのでしょうか?
制御工学という分野が私の主軸となる研究分野です。制御というのは物事をコントロールあるいはマネジメントするということ。対象によっていろいろ違いがありますが、コントロールするという手法の学問です。対象としては電力システム、電力系統といって電気を流すシステムです。それからロボット、メカトロニクス、リハビリシステムといろいろやっています。
Q実社会と繋がるような研究ですね
電力システムについては、ずっとエネルギー企業と産学連携という形で社会実装研究をしていました。それからメカトロニクス分野では、車の電動パワーステアリングについての制御ソフトの研究。リハビリシステムについては高齢者も含めて運動機能が低下した人に対してのリハビリにロボットを応用する研究などをしていました。制御工学というのはどちらかというと基礎的な分野ではありますが、対象が多岐にわたって社会的なものも扱っていますので社会との繋がりは非常に強かったと思います。
Q国公立大学の理系から私立大学の文系へと、かなり環境が違うと思いますが、昨年度着任され東邦の学生の印象はいかがですか?
実は着任してからずっとコロナウイルスの感染が広がって、私も昨年後期の授業1コマ持ちましたが、オンデマンドの講義ということで学生の生の声を聞けませんでした。普段もリモート授業が主体で学生と接する機会があまりないため、正直に言って愛知東邦大学の学生像というのが実感できていません。ただ名工大の学生との違いとなると色んな学生がいるというのが私の第一印象でした。経営学部、人間健康学部、教育学部それぞれ目指すところが異なる学生が集まってきていますから、多様な学生が集まっているというのが印象の一つです。それからもう一つはわりとファッションが洗練されていますね。
Q学生指導されるときに大切にしてきたことを教えてください
大学は教育と研究を使命としています。私がとってきたスタンスは、まずは研究をすること、そして研究する姿をみて、学生が学んでいくのが教育だと考えていました。教育者という意識をもたずに、つまり教育とは自然な形で研究を学生に伝えていくことで、成り立つと思っていました。そのため、どちらかというと、正面を向くより自分の後ろ姿ばかり見せていました。ただし、授業やゼミで学生といろいろ会話する中で、学生と向き合う時にはその学生の個性を生かしていこうと、私の中で一番強く思っていました。というのは私自身が、どちらかというと少しひねくれた学生だったものですから、恩師たちから変わっているやつは面白いなといって、かわいがっていただきましたから。学生の個性を伸ばすというのが教師の役割じゃないかと思っています。
Q今の時代に学長に就任されて、学長の役割をどうお考えでしょうか?
今は第4次産業革命といわれる時代の転換点、100年に一度の転換点と言われています。その中でじゃあ大学の役割っていうのは何かということを考えたときに、将来どんな風に世の中が変わっていくかわからない中でも、ちゃんと社会の一員として社会の中で生きていくことができるような人材を育てるということが、大学の基本的な役割だと思っています。学生を社会の中で時代や環境の変化に柔軟に適応し、そして活躍できるよう育てていく、そのためのいろいろな教育の方法の環境を整えていくのが学長の役割であると思います。
今年の4月から東邦学園として第三期の中期五か年計画を立てました。そのタイトルは「愛知東邦ネクストチャレンジ2030」ちょうど10年後、2030年にどういう大学になっているべきかというビジョンです。そのビジョンから逆算して五か年の中で何をやっていったらいいかと、バックキャスティングという呼び方をしますが、ゴールを見据えてゴールに向かってどのように組み立てていくかを考えています。
建学の精神を受け継ぎながら、大学は小規模ですけれども、キラリと光る独創性を発揮できる大学になっていこう。人材育成と学術で地域社会の活力を生むような創発大学というのをめざしていこうと考えています。
一つひとつの役割が個性を発揮することによって、その個性同士が組み合わされ全く違う個性や機能が生まれてくる。そういう現象を"創発"と呼んでいます。学生もいろいろ多様な学生がいる。教える側もいろいろな専門知識をもった多様な先生がいる。職員もそう。そういう人々の個性を上手く組み合わせることによって、従来とはまったく違う、考えてみなかったものを生み出せればイノベーションにもつながってくると思います。そういう個性が活力を生む大学を作っていきたいと思います。また、そのことで地域あるいは世界につながっていくような大学を目指していきたいです。
Qでは最後になりますが、卒業生のみなさんにメッセージをお願いします
愛知東邦大学はまだ20年の若い大学ですけれども、これからどんどん成長するように私も努力していきたいと思います。大学を卒業したらそれっきりではなくて、ふたたび皆さんが大学に帰って、いろいろなものを気づき、気づかせられるような大学にしていきたいと思っています。これからも、皆さんのご理解とご支援をお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
インタビュアーの一言
とても素敵な先生でした。文章では伝わらない鵜飼先生の魅力や雰囲気が動画で伝わると思います。ぜひご視聴ください。