teacher07島本 みどり 先生
FOR YOU TALK | INTERVIEW 07自分の学校に誇りを持って卒業して行って欲しい。
島本 みどり 先生
1989年3月の邦友会誌 Vol.11,12に掲載された「FOR YOU TALK」記事より今回のFOR YOU TALKは、秘書科にはかかせない人物の登場です。
私が中学生だった頃、国語の先生から「女は賢くなくてはなりません。賢いというのは単に頭がいいというだけの意味ではなく優しさ、強さといった人間性も含みます。なぜなら女は子供を産み育てるという機能を持ち、子はこの世に誕生して初めて手本にするのは母親だからです。」というような事を言われた事がありました。もう10年近くも前の話になりますが……。
今回のゲストはますますご自身に磨きをかけて、賢くそして美しくなられた(この美しさの秘密は……?!)島本みどり先生の登場です。
Q教師から大学院へ
5月15日、時折激しい雨の降る中、せっかくの日曜日だというのにわざわざ短大までお越しいただいて、いろいろとお話を伺いました。
島本先生は南山大学の出身です。一度は中学の英語の教師として教鞭をとっていらしたそうですが、受験勉強を助けるために英語を教えるのは性に合わない上に、田舎の生活に憧れて生活をしてみたものの、それまでの自分の社会に対する知らなさを思い知らされて、もう一度勉強をやり直すつもりで大学院に進まれたそうです。
大学院に入って“社会から人をとらえる”という勉強をしたいと思い、探し当てたものが文化人類学だったということです。
Q物事を知るということ
短大では榊先生のあとを受け持ち、秘書コース(秘書教養)を教えることになったそうです。
「秘書というのはいろいろな意味で物事を知っていないといけません。そこで、まず“新聞を読む”ということをテーマに講義を進めていきました。」
現在私たち若い世代の女性はテレビ、ラジオ、雑誌などでほとんどの知識を得ています。テレビ、ラジオというメディアは、新しい情報を映像や音にして伝えてくれます。
「新聞というのは、若い女の子たちにあまり人気がないもので、本当は情報の宝庫で非常に大切なのですけど、新聞を読まないということに気がついたのね。これではひとりの女性として社会の中に出ていくのに、世の中の動きの事を何も知らないで、自分の身の回りに起こった小さな事だけに関心を持って育っていくようではいけないと思って、新聞を読ませるということを始めたのです。」
なるほど私自身、身につまされる思いのする鋭い指摘です。確かに今の若い世代の人は活字離れしていると思います。
だから、ちょっとした文章の書き方も下手なのです。(うーん、私の記事の事だ!!)
「話し言葉がきちんとしていないと書き言葉もぞんざいになってきます。学生が時々書いてくれるのをね、読むと吹き出しちゃうのですよね。やっぱり練習しないとダメなのですよね。」
会社に入ってもう3年目なのにまだ、まともな文章が書けない私にとっては学生のことを言える身分ではありませんが、自分が学生の頃もこんな感じだったのかと思うとまだまだ成長してないし、これから先はまず新聞を読むことから始めていろいろな意味で自分の教育をしていかなくてはならないということを痛感しました。
Qアメリカでのエピソード
先に伺ったように先生は英語の先生をしていた上に、短大では小津先生と共に海外研修の担当をしています。
そこで、今までの海外研修のエピソードなどを伺いました。
「私自身の経験では向こう(アメリカ)に行ったら資料を集めようと思って、大学の本屋さんに行ったのです。一生懸命自分の欲しい本を探してカウンターに持って行ったのね。そしたらお店のレジの人が『How much do you wants self?』と聞かれたのです。『私は売りたいんじゃなくて、買いたいのです。』と言ったら買う方のレジを教えてくれたのだけど、アァこれがアメリカなのだなあ!と実感しました」
というアメリカと日本との本に対する学生の価値観とか、考え方の違いに驚いたそうです。
「初めのうちはカリフォルニア大学のバークレー校にあるインターナショナルハウスという所に行っていたのです。そこで、いろいろなカリキュラムの中で勉強していたのですが、その頃の学生は本当に毎日が修学旅行みたいにして過ごしていたのね。そんな風に毎日過ごしているものだから誰かかれか、病気になってしまったのです。とにかく病院に連れて行かなくてはいけないのだけれども、車が無かったのね。そこで受付の人に『救急車を呼んでくれ』と言ったら『ちょっと待ってくれ。救急車はお金が高いからパトカー呼んでやる』って言うの。少したったらパトカーが来てくれたのです。そしてパトカーに乗ったら、後か横かは忘れたけど拳銃というかライフルがあったの。私は日常そういう物は見た事がなかったからビックリしちゃって。まぁ、何とか病院に連れて行ってもらったけど」
ここでもやはり、アメリカと日本の違いはとても大きく、救急車が有料で病院までパトカーで送ってもらうことや治安の問題だと思われますが、ピストルやライフルがまるでおもちゃの様に無造作に置いてあるなんて本当に日本では考えられない事で、聞いている私自身ですら驚いているのに、現場にいた先生はどんなにビックリされた事でしょうか。
こういう話を聞くとアメリカって大きいのだなあ!とつくづくそう思いました。
Q学生たちへのメッセージ
最後に今の学生に対するメッセージを伺いました。
「東邦の学生をこれで12年、13年目になりますが、最近の学生に自分の学校に誇りを持って卒業して行って欲しいと思うのです。私のクラスの学生がアルバイト先で、金城だとか南山・淑徳とかの方がみえる所で学校の名前が言えなかったという学生がいるのです。『あなた方ね、自分が、あなた自身がよければ、東邦のイメージは変わるのよ。だからあなたは誇りを持って、自信を持って東邦の出身ですと言いなさい』と言ったのです。東邦の評価を高めるのも、落とすのも卒業生だと思うのです。ですから卒業生一人一人ががんばって“あぁ~東邦生ここにあり”と社会に示して欲しいのです。後輩の方も学校でがんばっていますので、是非誇りを持って自分の人生を切り開いて行って欲しいと思います」
ややもすると私たちは東邦短大を巣立って行きながら学校名が言えずにはぐらかしたり、言っても知らないと言われ落胆して次からは言わずに隠してしまうという事が多い様な気がします。
今、東邦短大の評価はどんどん上昇しています。いつかきっと胸を張って「私は東邦の出身です」と言える日が来る事を信じています。
そういう日が一日でも早く来るよう私たちは後輩のために、そして自分自信のためにもがんばらなくてはなりません。
島本先生、多くの事を教えていただきどうもありがとうございました。
ご主人様、ご家族様とお幸せに。