personal02短大1回生 八木博徳

あの人、この人 | INTERVIEW 02短大に引き継がれる、のびのびとした時代の気風

短大1回生 八木 博徳 さん
ホームセンター(郡上)

邦友会誌 Vol.8(1987.3)に掲載された記事より
短大1回生 八木 博徳 さん / ホームセンター(郡上)

まだちらほらとしか紅葉していない山を背景にスタッフ4人を乗せた車は、郡上八幡にある八木さん宅に向かっていく。インタビューの内容を考えるはずの計画が、昔なつかしい電車が踏み切りを渡ったりするのを見ると「乗りた~い」などと、すっかりピクニック気分になってしまっていた。八木さんは、第1回卒業生であり、私たちとちょっと話が合わないのではという不安をいだきつつ“職場へこんにちは”の対談が始まった。

Q学生時代の思い出は

やあ~なんと言っても、一番印象深いのは1期生なので上級生が誰もいなかったことでね。それに同級生でも年はバラバラで、外人もいたなあ。

1期生だから上級生がいないことは当り前だが、上級生のいない学校なんて想像出来ない。話を進めていくとなんと外人のうちの1人に、11PM、CMなどで知られている、ウィルヘルムランゲさんも第1期生にいたそうである。

当時は陸の孤島というべき僻地で…バスがなければ通学が出来なかったんだよ。バスの運転手さん元気かね?

今はバスなんてないんですよ。しかし本当は、今でもバスがあったらいいのに…と、かつて地下鉄組であった私はひそかに思った。

Q在学中楽しかったことは?

ワンダーホーゲル部を作っていて、仲間の中には6ヶ月ぐらい山ですごす奴もいたなぁ。その仲間でスキーツアーを開いてね。近くの学校にも参加者を募集してバス2~3台にもなったんだよ。

次第に、私たちスタッフと八木さんが東邦を母校とすることで心の輪が広がってきた。学校の歴史を知るということで、生の卒業生の声を聞くというのはとてもおもしろい。大きな声では言えないがそのスキーツアーを企画したおかげで、今のお金の額に直すと30万円ぐらい儲かったというエピソードも…。

Q当時の趣味は?

高校2年生の時、初めて佐渡ヶ島までヒッチハイクしたんだけれども、これがやみつきになってしまってね。千円で水戸の偕楽園に行こうと計画を立てて、でも途中おなかがすいて動けなくて…。

話によると、知人宅はもちろん、見知らぬ心やさしい人の家に泊まり、駅に寝た日も少なくないと言う。「浮浪者と変わらんなぁ」と八木さんが笑う。

Q仕事の話になりますが、仕事はどのようなことをしていらっしゃるんですか?

ホームセンターと屋根の瓦葺きと農機具の販売です。農機具は春と秋に忙しくて、その後のあいた時期に屋根の瓦葺きをやっているんだよ。そして、ホームセンターではペットのエサからカー用品、電気用品などと約2万点のものを販売しています。

八木さんの机の後には社訓というべき、社員の心得が掲げられていた。実は短大の規約も八木さんを含め、その当時の執行部で作られたそうだ。学校が押しつける規約でなく、のびのびとした時代に自主的に作られたという規約の気風は今もなお、短大に引き継がれているかのように思う。

取材を終えて

八木さんのインタビューを終えて、最初の不安がいつのまにか思い出話でなごやかなムードに打ち消されていることに気づく。第1期生の中には店を営んでいる方が多いそうだが、短大在学中勉強以外に学んだことも生かして、それぞれの職場でがんばっていらっしゃるんだなと、これからの活躍を同じ東邦短大卒業生として応援します。

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