personal24短大19回生 加藤千春さん
あの人、この人 | INTERVIEW 24自分が伝えたいものを表現できる能力を高めたいです。
短大19回生 加藤千春さん
Batik Artist
千春さんとマレーシアで共にろうけつ染めをされている方からも千春さんについてメールをいただきました。「グループレッスンの際には、何人も千春さんが居るように生徒さんたちの指導にあたり、レッスンが終わる頃にはひとときのお茶が振る舞われ、こんなに忙しいのに笑顔を絶やさず、声をかけると相談にも乗ってくれる頼もしい存在です。」彼女らしいエピソードなので紹介させていただきました。
海外でその活躍を評価され、現地で新聞にも紹介されがんばっている19回生加藤千春さんを紹介します。
Q蝋けつ染めを始めたきっかけは?またその魅力は?
1995年マレーシアに来て、この国の伝統工芸のひとつであるBatik(蝋けつ染め)による絵画の作成の勉強を始めたのがきっかけで、今はマレーシアで、Batik Artistとして活動すると共に自分が学んだfine Art Batik教室で働いています。
簡単にBatik絵画の作品が完成するまでの手順を説明すると、はじめに蝋を溶かした液状のものをジャンティンという道具を使いあらかじめ鉛筆などで下書きした白い布に、その線にそって蝋をひいていきます。色をのせる段階でその蝋の線が防染の役目となります。そして、次に筆などを使い色を布にのせます。染料は水に溶けるので水彩の様な感じになります。色止めの作業をして、色を定着させ布を煮て蝋を溶かし落とすとひと手順の終わりとなりますが、納得がいくまでその作業を繰り返します。私の作品は、大きさにもよりますが完成までに数ヶ月要します。
またその魅力は、油絵や水彩画と同じ様に絵画を描くことができることを教わりそれに大きく感動したからです。実際に見てください。また、色々な技法も豊富で、その中でも古典的な技法のひび割れ技法です。蝋が冷え固まったところで手などで軽く押さえるとその蝋にひびが出来、その模様が布に模様として残る技法で、二度と同じ模様ができないところが魅力ですね。何百枚もの研究を重ねそのひび割れ具合の調整が身につき偶然性の模様からおおよその計算された模様を造り出すことが可能になりました。こうした、技法等を生徒に教えながら、自分だけの技法の開発に取り組み自作品を作成しています。
Qマレーシアってどんな所?外国くらしで困ることは?
マレーシアの公用語はマレー語となりますが、ほとんどの人が英語を話すのでまだ助かりました。と言うとなんだか英語がたんのうの様に聞こえますが、そういう訳ではありません。英語は苦手だったので慣れるまでは、身振り手振りで乗り越えました。最低限会話に必要とする文法は中学生レベルで大丈夫です。中学生の問題集を買ってきて基礎を復習して、今は会話中心の勉強をしています。
マレーシアでも私のいるクアラルンプールは首都だけあって、名古屋に居たときと変わらない生活をすることができます。車で5分のところにジャスコがあったりして日本食は多少高いですが、新鮮な食材が手にはいります。こちらの物価は日本の1/3ぐらいで常夏ですが重い暑さもないし、暮らしやすい所だと思います。ちなみに、ブランド品が安く手に入ったり、ゴルフも安くプレーできるので旅行に来る人が増えているみたいです。
Qこれからの目標は?
まず、いい作品、自分が納得の出来る作品を造りたいです。そのためにさらに、技法の習得・開発をし、自分が伝えたいものを表現できる能力を高めたいです。
講師としての立場からの目標は、いままでここでの活動しかなかったのですが、是非これからは日本でも何らかの形でBatik絵画を広めていきたいと思います。こちらでの仕事もあるので、短期になりますが体験教室など小さな規模から計画しようと思っています。
Q学生の皆さんへ
日本では就職難が続いているようですし、せっかく就職しても満足できる仕事でなかったり、女性であれば色々な問題に直面するでしょう。でも、そこで不満ばかりならべている人は人生まで陰ってしまいます。誰でも何か好きなこと、得意なことはありませんか?それを生かして仕事にすることは容易でありませんが、少なくとも挑戦する価値はあります。
わたしは、若い頃好きなことは仕事にしたくないと漠然と思ったりもしましたが、今こうした人生を歩んでいるとやはり、好きなことはどんな困難さえも乗り切る力を持っているように思います。 それに、日系の会社が出す現地採用の求人広告を見たりしますが、これからは海外に目を向けてみるのもいいかもしれませんね。はじめは、自分の希望する職種でなくても、働きながら英語を勉強してステップアップしていく方法もありますよ。
自分で自分の道を探して行く努力を惜しまなければ年齢に関係なく自分の可能性は無限であることを信じてください。
マレーシアに来るときには是非一日体験教室もありますのでBatikを体験してみてください。
取材を終えて
今回原先生から、連絡をいただきメールで取材させていただきました。遠くの地で懐かしくHOYUを読んでくださっていて私たちもとてもうれしく思います。多くの卒業生の方に読んでもらえることを励みにがんばっていくと共に卒業生の方々にもがんばっていってもらいたいのでこれからもいろんな卒業生の方達を応援していきたいと思います。