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増田孝教授が客員教授に
増田 孝 教授
私は1971年に大学を卒業して教職につき、およそ半世紀の間、教員生活を続けてきました。その前半は高等学校教員を、後半は大学で教鞭を執りました。ですから、仕事の面からいいますと、私は教職しか知りません。
今も昔もあまり変わりはないのでしょうが、若いころから、生涯、ひとつの仕事を続けることができたのは仕合だったのではないかと思うのです。ですから、若い頃の人生の選択はとても重要な気がします。
さて、私個人としては、大学在籍中にやろうとしてできなかったことや、やり残した(と思われる)ことが沢山ありました。というより、学生身分の間にできたことの方がほんの僅かで、まだもっとやってみたいこと・継続したいことだらけで、そのまま学生を終えてしまうことに物足りなさを感じたわけです。どんな仕事をすべきかと考えたあげく、意思を貫くにはそうした環境に身を置くしかないと悟りました。
研究者として続けてゆく人生。もちろんそれは、所属する分野ごとに大きく異なる筈ですけれど、私のような人文系でしたらそれはやってできないことはないと判断したわけです。
申すまでもなく、教職にある多くの者は、研究と教育とを、あたかも車の両輪として生活しています。しかし、若い時期に、自分にとっての将来をきちんと見据えての職業選択は、容易ではないでしょう。ですから、それは一種の賭けのようなものでした。社会に出て教員生活をしながらも、多忙なときほど自分の時間を大切にしようと考えます。何よりも寝食を忘れるような、没頭できるものを持つこと。それを今なお継続できていることは、私の研究者生活の最大の収穫だったと、今は感じています(2020年3月20日記)。