resignation別辞

教育学部 虎岩朋加准教授 

退職のご挨拶

私は2023年度3月末に退職いたしました。愛知東邦大学では教育学部子ども発達学科で3年間お世話になりました。在職期間中、私は幼稚園教育実習を担当いたしました。愛知東邦大学に着任するまで、私は中学校や高校の教員免許取得希望者の教育実習を担当してきましたので、幼稚園での教育実習の担当は初めてのことでした。大変貴重な経験をさせていただけたと思っています。その経験をとおして、日本の教師教育の抱える構造的な課題や、社会の構造的な課題を学ぶことができました。
教育を行う現場の先生方は、自らの日々の教育実践を省察することによって、それが子どもたちにもたらす意味や価値を言語化することができます。そして、それらの意味や価値というものを実習生に伝えたり、実習生の教育実践への考察を加えたりします。労働環境が厳しく、教員の入れ替わりが頻繁で、多忙で、授業実践に関する教員間の対話の時間を十分にとることが難しいと、教員の経験や言語の蓄積もままならないことがあります。そうした幼稚園での教育実習は、指導する先生にとっても実習生にとっても大変なものになります。そうなりますと、幼稚園教員になることをあきらめる実習生も生まれ、幼稚園へ就職する者も減り、現場をますます疲弊させることになるでしょう。このような循環が全体としての幼稚園教育の力や意味を弱めてしまうのではないかと懸念しています。
幼稚園を含めた就学前教育に潤沢な予算と人が配置されれば、幼稚園段階での教員養成を含めた教師教育全体がより充実するのではないかと思うのです。小さな人たちの教育を私たちは軽視していないだろうか、教師の成長ということも念頭において、私たちはもっと幼稚園教育を重視する必要があるのではないか、このような考えに至りました。愛知東邦大学での経験を無駄にせず、今後も教員養成に貢献していきたいと考えています。

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